広<て安<て､地震に強い家をローコストで！



  塩尻から安曇野にかけ山麓を走る｢日本アルプスサラダ街道｣｡松本平の雄大な景色が楽しめるこの道路沿いに､アメリカンリゾートホームの｢ディアフィールド｣という2×4キットをオーナービルドで現在建築中なのがＨ（44歳）さん｡もともと松本市出身｡長らく神戸に住み､輸入車の改造などを手がける会社を営んでいたが､2年ほど前にUターンして会社を実家の輸入車ディーラー内に移転｡現在は山形村に一軒家を借りて家族とともに暮らしながら､松本市の仕事場と波田町の新居建築現場に通う日々だ｡

神戸から信州への∪ターンで､地震に強い2×4を選択！

　｢神戸では自宅のマンションであの震災にあいました｡このモデルを選んだのは､あの地震でも2×4の家が壊れなかったのがやっぱり大きい｡本当は田舎暮らしがしたくて古民家も探してみたんですが､安さと広さと安全性を満たす2×4で､しっかりした基礎と屋根の軽さにこだわりました｡自分の手間を省きながら､好みの家を安く建てよう思ったら､この方法しか僕はないと思うな｣

この方法というのがキットを購入し全工事を自分で手配するオーナービルド｡工事を分離発注する面はセルフビルドに似ているが､一般的なセルフビルドでは自分で作業をしないと家作りが進まないのに対し､オーナービルドは自ら作業してもしなくても建築が進む点が違う｡これなら､仕事を休まず､大工仕事の苦手な人でも､好みの家作りが可能だ｡
敷地300坪に建築中の延べ床面積約40坪の輸入2×4住宅は､マンサード屋根の2階建て｡1階はワンルームで､2階は5部屋と細かく間取り｡”恋人の丘”｡と呼ばれる高台のでっかい風景の中､平野邸の建築は完成に向け着々と進んでいる｡
　

作業はしないが毎日のように顔を出し話し合う

そんな建物に入ると､1階は杉板を横張りした内壁仕上げの木の香薫る空間｡間仕切り壁をとった代わりに中柱が並んでいるものの､奥行約15mのリビングはじつに広々｡開口部に5つ並ぶペアガラスの全面ガラス戸からは雄大な山々の景色が美しい｡完成時にはここから出られる大きなデッキが付き､その下から基礎部分にかけてガレージにする予定｡自ら作業する手間を省きながらも､職人さんとの話し合いで好みを仕上げに反映させる手法は､立派な家作りへの新しい参加形態といえそう｡

｢仕上げは職人さんとモノを見ながら材料は何にするか､何日で上げるかを決めていくんです｡モノを見ながらだからお互いわかりやすいし｡なるべく安い材料を選んでもらって建材の代金は僕が現金払い｡職人さんには日当を最初に決め､工期ごとにキャッシュで払っています｣